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埼玉県予防接種センターだより (No 2017-10)

◎ 予防接種情報 ◎

◆第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開催
(2017年9月22日)

9月22日に第30回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と合同で開催しました。
今回は、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(13価)、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスのワクチンについて、平成29年6月末までの副反応疑い報告を基に審議が行われ、これまでの報告において各ワクチンの安全性については重大な懸念は認められないと評価されました。
 また、HPVワクチン接種後に生じた症状に対する「認知行動療法的アプローチ」について研究代表者から報告いただくとともに、協力医療機関を中心とした医療体制の整備状況等について報告を行い、さらに新潟大学医歯学総合病院教授より「新潟県での副反応診療システムの取り組み」について報
告いただきました。

<厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075

◆予防接種後副反応疑い報告制度に少し改訂がありました
(添付の局長通知参照)

PPSV23接種後28日以内に、注射部位壊死又は注射部位潰瘍を認めた場合は、届出義務となりました。 
これにともない、副反応疑い報告書の様式が変わりました。また、電子媒体で、報告書を作成できますので、こちらも今回の改訂にあわせて改訂しました。下記のURLからアプリをダウンロードして、ご活用下さい。

http://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j/6366-vaers-app.html

◆2016年度の麻疹、風疹予防接種率が公表になりました

すべての市区町村の結果が公表されていますので、ご自身の医療機関あるいは、お住まいの自治体の結果を確認して、2017年度の接種勧奨にご活用ください。

http://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/655-measles/idsc…

◎ 感染症情報 ◎

◆9月24日からは結核予防週間“それって、いつもの風邪ですか?”

厚生労働省では、毎年、9月24日~30日の結核予防週間を、広く国民の皆様に、結核についての理解を深めていただく期間としています。

今年度は“それって、いつもの風邪ですか?”を標語として、患者と医師とのコミュニケーションの大切さを啓発する内容のポスターを作成しました。
 患者は正しい診断に役立つ情報を医師に伝えること、医師は必要な情報を患者から聞くことが正しい診断には重要です。しかし、患者と医師の間でそういった情報のやりとりが無いと、診断の遅れや誤った診断につながります。

今回のポスターでは、症状を上手に医師に伝えられない患者と、診断に必要な情報が得られないために診断を進めにくい医師とのやりとりを描くとともに、受診時に皆さんから医師に是非とも伝えてほしい、本人にしかわからないような「感染症の正しい診断をより早く行うために役立つ情報」を例示しました。

皆さんも病院を受診する時は「いつもの風邪とは違うところはないかな?」と考えてみてください。そして、思い当たることがあれば積極的に医師に伝えてください。

<啓発ポスター>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000…

<結核(BCGワクチン)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenk…

◆「新型インフルエンザの診療と対策に関する研修」を11月5日に開催
 <席に限りがございますので、早めのご応募を!>

2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の世界的な大流行以降、新たな新型インフルエンザは発生していませんが、アジア諸国等においては、依然として鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が確認されています。
 新型インフルエンザを取り巻く、鳥インフルエンザの疫学、治療や感染対策の現在の流れを含め、本研修では、新型インフルエンザの最新の状況等、4人の専門家が解説いたします。

【日 時】平成29年11月5日(日)13:00~16:00(受付開始12:30)
【会 場】イイノホール&カンファレンスセンター
    (東京都千代田区内幸町2-1-1) 
     http://www.iino.co.jp/hall/access/
【参加費】無料
【参加方法】下記URLよりお申し込みください。
 ※事前申込制につき、定員に達し次第、締め切らせていただきます。

<平成29年度新型インフルエンザの診療と対策に関する研修>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/koue…

◎ 国内の感染症発生状況

◆IDWR 2017年第38週(第38号)(2017年10月6日)

咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少しました。
 また、RSウイルス感染症の報告数も7,868例と減少しました。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約69%を占めています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2017.html

◆2017/18シーズンが始まりました

今シーズンの流行の中心が何になるかはまだわかりませんが、全国の地方衛生研究所で分離・検出された結果がまとめられています。今シーズン初期の情報がわかります。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/1974-idsc/iasr-flu/6786-iasr-influ20160925.html

https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2016_36w…

https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2016_36w…

https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2016_36w…

https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/rapid/inf3/2016_36w…

インフルエンザ様疾患による学校の休業、学級閉鎖の情報が入り始めました。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flutoppage/590-idsc/13…

◆全国の定点医療機関当たり報告数は0.21~ インフルエンザの発生状況を公表しました(2017年10月6日)

2017年第39週(9月25日~10月1日)のデータを公表しました。全国の定点医療機関当たり報告数は0.21となり、前週の0.18から増加しました。

<インフルエンザに関する報道発表資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/…

◆IDESコラム vol.4「梅毒がわかれば医学がわかる?」
 (IDES養成プログラム 3期生:西島、神代、市村、高橋)

この現在の日本で、梅毒の流行拡大がとまりません。2010年以降、梅毒の報告数は急激に増え続け、2010年の621例が、2016年には4557例に増えています。4000例を越えたのは、何と42年ぶりです。さらに今年2017年も、9月24日までの報告数が4086人と、年間報告数で2016年を上回るのはほぼ確実になっています。

かつて、当メールマガジンにて連載していたあさコラムの言葉を借りると「予防、そして早期検査・診断と治療、普及啓発。梅毒対策、待ったなしです」

本コラムのタイトルの「梅毒がわかれば医学がわかる」。これは、近代医学の祖の一人と言われるウイリアム・オスラー医師が20世紀の始めにいった言葉だそうです。原文は、"He who knows syphilis knows medicine"。

なぜ梅毒がわかれば医学がわかるのか。それは、当時梅毒は、診断も治療もとても難しかったため、梅毒をきちんと診断できるのは腕のよい医者の証拠、と考えられていたことが理由です。梅毒は、偽装の達人”the great imitator”と言われるほど、多種多様な病変を、皮膚、陰部、口、腎臓、脳・神経、骨などいろいろな臓器におこすことがあり、診断することが難しい病気でした。ちなみに、梅毒が脳に悪さをすることを突き止めたのは、かの野口英世です。野口英世は、梅毒が進行して麻痺を起こした患者の脳組織に梅毒の原因菌がいることを証明し、これは野口英世の代表的な業績とされています。

この梅毒はペニシリンで治ります。ペニシリンが開発され、1940年代に梅毒に効果があることが確かめられるまでは、たくさんの人が感染し、命を落とす人もあとを絶ちませんでした。もちろん日本も例外ではなく、マンガ「JIN-仁」で描かれたように、江戸時代にも梅毒は非常にはやっており、特に遊郭で働く遊女の間では多かったようです。そのため、子だくさんで有名で、なんと正室が2人、側室が20人ほどもいたとされる徳川家康は、遊女との交わりをもたないよう厳に自分を戒めていた、との話が残っているほどです。

日本で本格的にペニシリンが普及したのは戦後になりますが、1948年の梅毒感染者数は、約22万人でした。その後はペニシリンのお陰で感染者数はどんどん減っていき、1990年代に入ると年間1000人を下回るようになりました。

しかしながら、現在は再流行期にあります。2010年以降今日にいたるまで、梅毒は拡大を続けています。

今回の梅毒の流行には、ある特徴があります。2010年以降、梅毒の報告で多かったのは同性間で性交渉を持つ男性でしたが、2014年以降、急速に男女間で性交渉を持つ男性・女性が増えています。

女性報告数の大半は20-30代の若い女性で、梅毒にかかった妊婦も報告されています。実際、生まれる子供が梅毒に感染する先天梅毒の報告数も、2012年の4例から2016年の14例に増えています。現在の梅毒は、きちんと診断がついて治療すると治る病気ですが、おなかの中の子供が感染する先天梅毒は、早産・死産の原因になったり、生まれても重い後遺症が残ることがあります。一方で、梅毒の報告数の大多数(2016年では7割)が男性であること、またHIVに感染した男性の梅毒の有病率が高いこともわかっています。梅毒を、男性が女性にうつす可能性があることを考えると、先天梅毒は男女双方の問題なのです。

梅毒は性感染症です。ということは、
 ・コンドームを適切につかうと、感染リスクは下がります。
 ・不特定多数と性交渉をもつと、感染リスクはあがります。
 ・オーラルセックスでもうつります、このことは見逃されがちで、要注意。
 ・梅毒の症状としては、陰部や口の潰瘍、皮疹がよくみられます。
 ・梅毒にかかったかも?と疑ったら、検査を受けましょう。
  梅毒は早く治療すると、きちんと治ります。
 ・あなたがもし梅毒だったら、あなたのパートナーも梅毒にかかっているかも。

ぜひ検査をすすめてください。

 この流行、何とかせねば。

あさコラムの言葉をもう一度。
「予防、そして早期検査・診断と治療、普及啓発。梅毒対策、待ったなしです。」

<本コラムの感想、ご質問、ご要望など>
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<コラム バックナンバー>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116724.html




以上の情報は厚労省の感染症エクスプレスなどを参考にしています。
行政・法律の問い合わせ先
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 感染症・新型インフルエンザ対策担当
 TEL: 048-830-3572 ,3557 FAX: 048-830-4809
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文責・市町村予防接種担当者・医療機関向け医療保健相談
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埼玉県さいたま市中央区新都心1番地2 埼玉県立小児医療センター内
 埼玉県予防接種センター長  川野 豊(予防接種医療相談)
 TEL:048‐601-2615  FAX:048‐601-2253
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