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埼玉県予防接種センターだより (No 2017-09)

◎ 予防接種情報 ◎

◆第29回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開催
(2017年8月28日)

8月28日に第29回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と合同で開催しました。

今回は、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザ、HPVワクチンについて、平成29年4月末までの副反応疑い報告を基に審議が行われ、これまでの報告においてHPVワクチンの安全性については新たなシグナルの検出はなく、従前通りの評価とされ、その他のワクチンの安全性については重大な懸念は認められないと評価されました。

 また、HPVワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関を対象に7月19日に開催された研修会について、研修会の講師から、研修会に参加いただきました患者様他1名からのご意見を含めた概要について報告いただきました。

<厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075

◎ 感染症情報 ◎ 〜 国内の感染症発生状況 〜

◆第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(2017年8月21日)

近年の薬剤耐性(Antimicrobial Resistance: AMR)対策を進める機運の高まりのなかで、ヒト、動物、食品、環境といった垣根を超えた「ワンヘルス」としての薬剤耐性に係る統合的な動向調査の重要性が指摘されています。 薬剤耐性ワンヘルス動向調査に係る技術的事項について検討することを目的として、今年より、薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会を開催しています。 第3回の検討会では、薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(たたき台)について議論しました。

<第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会 資料>
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174964.html

今週8月21日に第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会を開催しましたが、そもそも「ワンヘルスとは何か?」「薬剤耐性(AMR)とは何か?」よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。できるだけかみ砕いて説明したいと思います。

ワンヘルスとは、「ヒトの健康は、動物・家畜の健康や環境から影響をうけるので、ヒト、動物、環境分野を越えて、各分野や国の垣根を取り払って対策が必要」という考えのもと生まれた概念です。

ワンヘルスの視点を持って取り組まなければならない代表的な問題に、薬剤耐性(AMR)があります。

AMRとは、病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることですが、これを放置すると、2050年には全世界で年間1,000万人が薬剤耐性菌により死亡すると推定されています。

ヒトの薬剤耐性菌が下水などの環境に流れ出て、動物(家畜、ペット、野生動物)に感染したり、ヒトから動物に直接感染する可能性が指摘されています。反対に、動物の薬剤耐性菌が、食品、環境を介してヒトに感染することもあります。ヒト、動物・家畜、食品は、日常的に旅行や貿易などで国境を越えます。このように薬剤耐性菌はヒトや動物、環境などの間で、様々なルートで感染することが分かっています。

AMRの対策には、ヒト、動物、環境の分野の壁を越えた様々な専門家や、世界各国の協力が必要です。

このAMRの問題を解決するためには、ヒトに限定した取組では解決できないのです。日本は、2016年4月に、今後5年間で実施すべきAMR対策をまとめた「薬剤耐性アクションプラン」を上梓(じょうし)しました。この薬剤耐性アクションプランのなかで、AMRの伝播経路を断ち切るための対策には、ワンヘルスのアプローチの考え方が必要であると記載しています。

今年から、薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会が開催されたわけですが、ワンヘルスのアプローチの一環として、ヒト、動物、環境、食品等の各分野の専門家や関係省庁が結集し、我が国のAMR施策の進捗状況(薬剤耐性菌の推移、抗生物質・抗菌薬の使用量など)を把握することにも取り組もうとしてます。

8月21日に開催した第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会では、どのような形式でワンヘルス報告書を上梓するか検討されました。10月に開催が予定されている第4回の検討会では、ワンヘルス報告書(案)が更に議論される予定です。

世界のワンヘルスの取組みに、日本も貢献できるように邁進して参ります。
 ワンヘルスの関係者の皆様のご協力を、今後もお願いします。

<ワンヘルス・アプローチに基づく動物由来感染症対策>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172990.html

<薬剤耐性(AMR)対策について>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html

◆9月30日(土)に国立感染症研究所の一般公開が開催されます

9月30日(土)に、東京都新宿区の国立感染症研究所戸山庁舎で一般公開が開催されます。

実験室体験、手洗い実習、標本展示などのほか、講演会~話題の感染症~(薬剤耐性菌)、感染症クイズ(肝炎、アウトブレイク探偵、意外と身近な世界三大感染症)、パネル展示(動物由来感染症、ゲノミクスと感染症、病原体の種類、感染研のお仕事)などの催しも用意いたしております。

また、ご家族向けの感染症ゲーム、蚊の模型工作など皆さまで楽しめるコーナーもあります。

<国立感染症研究所一般公開のお知らせ>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/open-campus/openhouse.html

◆RSウイルス感染症が増加しています

RSウイルスは急性呼吸器疾患を起こすウイルスです。2~8日の潜伏期を経て、典型的には発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日続きます。下気道症状が出現し重症化する場合もあります。本年は第33週の時点で報告数は5,389例に達しました。

RSウイルスは飛沫感染により、特に家庭内で高い確率で伝播するため、屋外からウイルスを持ち込むことにより乳児に感染させ、肺炎や細気管支炎になってしまうこともあります。生後まもなく感染することもあり、低出生体重児や心臓の病気のある乳幼児で重症化のリスクが高いことが知られています。

治療は酸素投与、吸引などの呼吸管理が中心で特異的な治療はなく、感染予防が重要です。まずは、手洗いや咳エチケットを徹底しましょう。

生まれたばかりの乳児がいる家庭では特に注意が必要です。
医療機関の皆様におかれましては、注意喚起のご協力をお願いします。

<国立感染症研究所:RSウイルス感染症とは>
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html

◆IDWR 2017年第34週(第34号)(2017年9月8日)

手足口病の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多くなっています。

今週の注目すべき感染症はRSウイルス感染症です。2017年は7月上旬から患者報告が急増しており、9月ごろから急増した過去数シーズンと比較すると早い時期からの増加となっています。

<IDWR 感染症発生動向調査週報>
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2017.html

◎ 感染症情報 ◎ 〜 海外の感染症発生状況 〜

◆ヨーロッパ地域における麻しん患者報告数の増加しているので、海外渡航者は注意が必要です

近年、ヨーロッパ地域において麻しん報告数の増加が確認されています。特にイタリアとルーマニアにおける報告数の増加が顕著であることが、ECDC(欧州疾病対策センター)から発表されました。

ECDC 平成29年第32週感染症状況報告によると、

○イタリアでは、本年8月8日の時点で4,087名の麻しん患者が報告されていま
 す(昨年は年間861名)。
○ルーマニアでは、本年8月4日の時点で6,486名の麻しん患者が報告されてい
 ます(昨年は年間1,969名)。

これらの状況を踏まえ、海外渡航者への注意喚起のため、リーフレットを作成いたしました。
医療機関の皆様におかれましては、海外渡航者に対する注意喚起について、よろしくお取計い願います。

<事務連絡>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/ke…

<リーフレット>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/ke…




以上の情報は厚労省の感染症エクスプレスなどを参考にしています。
行政・法律の問い合わせ先
☆~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
埼玉県さいたま市浦和区高砂3-15-1
 埼玉県保健医療部疾病対策課
 感染症・新型インフルエンザ対策担当
 TEL: 048-830-3572 ,3557 FAX: 048-830-4809
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文責・市町村予防接種担当者・医療機関向け医療保健相談
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埼玉県さいたま市中央区新都心1番地2 埼玉県立小児医療センター内
 埼玉県予防接種センター長  川野 豊(予防接種医療相談)
 TEL:048‐601-2615  FAX:048‐601-2253
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